個人的にもご縁の深い3カンパニーと同時にご一緒できて楽しかったです。
今回は、主に照明の視点からカンパニーとのご縁や思い出なども交えて少々作品を振り返ります。
●三等フランソワーズ「任務十年」
火曜日のゲキジョウに沢山参加してくれていまして、その中でご縁が生まれ、作品(特に「クリスマスギャロップ」と「ムーンライト」)が物凄くステキだったのでご一緒する機会があったらなと思っていたところ、2017年の本公演「明日の工場」に舞台監督としてお声がけ頂きました。
その後は、本公演クラスの演目では照明プランオペと舞台監督を兼任で(勝手知ったる自分の劇場だからできる裏技です。優秀な制作さんが現場についている事も条件になります。)「クリスマスギャロップ」(2019年)、「uyis nep’n at!」(2021年)、「 土曜日の三等フランソワーズ」(2022年)、「ピース」(2022年)、とご一緒させていただき、火曜日のゲキジョウは当然として、一人芝居フェスINDEPENDENTでの中川さんの一人芝居や、札幌の短編演劇祭での「ムーンライト」の上演などで、何かとご縁があります。中川さんとは、この「#三等カヨあがれ」の直前にプライベートで旅行にも行きましたしねww
そんな中での今回の作品です。三等フランソワーズ≒中川浩六の短編作品では、音響や照明の演出効果がシンプルな事がほとんどです。音楽は最初と最後だけ、照明の変化も極わずか。何だったら明転したらラストの暗転まで変化なしという事も珍しくありません。(その分、フェードの時間やタイミングなどには深いこだわりがあります。)
が今回の作品は途中で時間が変わったり、空間を使い分けたり、最後には怪獣まで登場しますから、中川さん本人も語っているように普段とは全然違う感じになりました。
後半のミャクミャク様登場以降、台本演出的な指定は「明かりのちらつき」(2回の大きな振動時)のみなのですが、勝手にアレンジさせてもらいました。場当たりでも本番でも何も言われなかったので演出OKという事でしょうww
怪獣の登場で最初は紫っぽい怪しげな雰囲気を出しますが、怪獣の正体がミャクミャクだとわかるとその明かりが青と赤のライトカーテンに代わります。ベタですが、照明でも笑いに貢献したいじゃないですか!一応の言い訳(解釈)としては、そのシーンでブルーインパルスが上空を通過するのでそのスモークという事にしています。
●まいあがれ「こと座イプシロン星」
米山と中嶋によるユニットまいあがれ。二人とも彗星マジックやINDEPENDENTで何度もご一緒し、まいあがれが30GPで優勝した作品「そこはかとなく優しくフィット」の火ゲキ初演時のカップリング相手は、僕のユニットCriticalCreationでした。その時、自作の照明プランの兼ね合いでまいあがれの照明プランも担当させてもらい、そこからだいぶ後の本公演「なっぽん」(2019年)でも照明プランオペを担当させて頂きました。
あとは、今回の脚本演出である勝山修平とは彗星マジックでずっと照明をやっているので、ズブズブですねww
ちなみに今回に先んじて今年5月のABC春の文化祭で米山×金澤版で上演した際には音響の方を担当していました。
この作品は距離を隔てた二人の話、かつほとんどの時間椅子に座っているというのが特徴で、二人が地続きの空間になってはいけないが、同時に観客からは両方をフラットに観れる画でなくてはいけないという制約があり、シンプルだけど他の作品の灯りや吊り込みと兼ねられないという要素がありました。
また、作品の大部分が音楽のリズム合わせで進行するので、必然照明の変化もそのカウントに寄り添う事になるのですが、ではカウントで単にきっかけを合わせていけばよいかというとそういう事でもなく、照明の変化は役(俳優)の情緒やその場の空気感に寄り添うべきだと僕は考えているので、カウント的に合いつつも情緒にも寄り添える…、シーンによって指定よりもかすかにきっかけを前倒ししたり遅らせたりというオペ感覚のグルーブが作品に作用すると良いなと思ってやっていました。きちんと刻んでるドラムにベースが少しだけうねるイメージですかね。ちょっと失敗したりあざとくなった回もありますが…。
今回の上演で追加されたシーンに、宇宙船に搭乗するために生体認証を受ける場面があるのですが、演出からのオーダーで「ヒーロー※の時にやった生体認証の灯りにして欲しい」との事で、今ならもっとカッコ良くもできるのですが、あえてチープな奴を再現しました。既視感を覚えた方は物凄い彗星マジックマニアですww
※「ヒーロー」は、【壊滅災害】と呼ばれる怪人や怪獣、不可解な現象に対処する公務員たち【特別任務官(俗称:ヒーロー)】の活躍と苦悩を描く彗星マジックの連作シリーズです。続編やスピンオフを熱望しているアイウチPの超お気に入り!
●カヨコの大発明「Blue Bird」
有元さんと二朗さんの夫婦ユニット≒カヨコの大発明は火ゲキやそれぞれのINDEPENDENTでの作品のご縁から、旗揚げ公演にして唯一の本公演である「園楽」(2018年)に照明プランで呼んで頂きまして、二朗さんのINDEPENDENT作品を集めた「INDEPENDENT:MZD」(2024年)でも照明を担当しました。
今回の「Blue Bird」は、ほぼほぼブルーバードの車内が舞台になりますので、まずはその空間をどう感じさせるかが重要。だけど、途中では唐突に解説が挟まったり、劇中劇が始まったり、脳内シーン?!になったりして車外の空間も好き勝手に使いますので、それらのフォローも必要です。
車内であることを観客に納得してもらうリアリティはある程度必要なものの、そこにコダワリ過ぎると整合性上で逆に不自然な事が気になって来る。例えば、新幹線を乗り逃した今井が車の到着を待っているシーンやヒロコが高速の脇道にたたずんでいるシーンのクルマとの距離感。車内は夜になっても常に明るいし、銃を突きつけるヒロコは立ってる!だから必要なのはリアル追求じゃなくお芝居というファンタジーを成立させる機能としての照明デザイン。
そう吹っ切ってからは何でもできるなと。
台本読んで悶絶したのは、この車ヘッドライト付けてるんですよ(文章で書くと当たり前だなww)。有元さんもスイッチ入れる芝居してるし。でもね、3作品転換するし車の周りを動き回るので、所謂コロガシでヘッドライトを再現する訳にいかない、実際転がしたとしてヘッドライトの灯りがお客さんに突き刺さるww でどうしたかというと、お客さん気づいたかな〜? ヘッドライト自体の実光ではなく、地面に伸びるヘッドライトの灯りだけをナナメ上からの灯りで再現しました。
同様に、登場人物たちのクルマを追い越していくパトカーの赤色灯。実際に赤色灯が通り越していく事は出来ないので、その点滅の照り返し灯りだけが車の横を通り過ぎていくのをムービングで再現したり。「ドンピシャじゃないけど、なんか分かる。ポイっ!」というのを狙った実験でした。
上演時のアフターイベントで今井役の山岡さんが話してたんですが、終盤の取り乱した新垣がライトを消して車を暴走させるシーン。音響によるクルマの音と流れる照明(街路灯とかね)がエグイと。演じてると本当に暴走車乗ってる気になると言ってくれて嬉しかったんですが、もしもこれがカヨコ単独の本公演だったら全方向にもっと機材を仕込みまくってやりたかったイメージがあるんです。
静止した車が灯りの表現だけであたかも走っているかのように感じるインスタレーション。
ここまでの事はやれないのでアレですが、このシーン以外では登場人物たちのクルマが移動している事を表現するような灯りをあえて用いない事で、ラストのここに疾走感を全て集約して印象づけるというプランでした。
今回3団体の合同公演という事で、そういう事を気にする人達でもないけど、なるべくフラットに平等にと個人的には考えていました。それぞれの本公演だったらもっと追及できた部分もあるのですが、それよりもお客様が観た時の全体のバランス感だったり満足感に繋がるのがこの企画にとっては良いのかなと。
個人的には全体コールでみんながずらっと並んだ時にグッとくるし、そこでかかる渡辺美里「10 years」が最高でした!
余談ですが、中学の時に母の友達だったか親戚だったかから「体調不良で行けなくなった」とチケットを譲ってもらい、真駒内アイスアリーナでのライブに行きました。それまでクラシックや着席のコンサートにはちょいちょい行っていたのですが、オールスタンディングのライブは初で、しかもファンクラブ先行のチケットだったのでアリーナの一番前センターブロック。爆音と一番勢いのある頃の彼女の唄声で、家に帰ってきても耳がキーンとしてたのを今でも思い出します。
かなり強烈な体験で、ファンというほどではないけど、しばらくTSUTAYAで借りてダビングしたカセットを聞きまくってましたね。特にその後出たベストアルバム「She loves you」とか。「10 years」も収録された名曲揃いのアルバムで「さくらの花の咲くころに」「いつかきっと」「跳べ模型ヒコーキ」「青空」あたりは、思春期全開だったのもあって、ノートに歌詞を書き写したりしていました。「強い気持ち おさえきれない心の状態」「情熱もただの微熱さ あなたがいなければ」っていうフレーズは今も記憶に残っています。
ちなみに渡辺美里は、今年デビュー40周年との事です。凄いな…。40周年記念ベストアルバム、買っちゃうかも…。
では、最後に一曲行きますか。渡辺美里で「跳べ模型ヒコーキ」

