2024年10月16日

CC過去公演一覧

Critical Creation code:01「souvenir - episode1」

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●演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
●脚本:戒田竜治(満月動物園)
●出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、河上由佳(満月動物園)、原典子(満月動物園)
●2008年6月15日(日)
●会場:未知座小劇場(ODICマンスリーワンコインシアター参加公演)
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Critical Creation code:02「souvenir - episode2」

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●演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
●脚本:戒田竜治(満月動物園)
●出演:森下淳士(劇団ころがる石)、殿村ゆたか、白木原一仁(ななめ45°)、諏訪いつみ(満月動物園)、河上由佳(満月動物園)
●2009年2月15日(日)
●会場:未知座小劇場(ODICマンスリーワンコインシアター参加公演)
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Critical Creation code:03「souvenir - episode3」

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●演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
●脚本:戒田竜治(満月動物園)+タダシアイウチ(Critical Creation)
●出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、西出奈々(彗星マジック)、白木原一仁(ななめ45°)、河上由佳(満月動物園)、伊藤由樹(突劇金魚)
●2011年2月15日(火)
●会場:in→dependent theatre 1st (火曜日のゲキジョウ参加公演)
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Critical Creation code:04「souvenir - episode4」

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●演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
●脚本:戒田竜治(満月動物園)+タダシアイウチ(Critical Creation)
●出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、南田吉信(劇団大阪新撰組)、西出奈々(彗星マジック)、白木原一仁(ななめ45°)、河上由佳(満月動物園)、伊藤由樹
●2011年10月18日(火)
●会場:in→dependent theatre 1st (火曜日のゲキジョウ参加公演)
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Critical Creation code:05「目病み猫と水のない水槽」

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●脚本:川津羊太郎
●演出・視覚構築:相内唯史(Critical Creation / at will)
●出演:塩尻綾香 × 濱本直樹(DanieLonely)
●2015年4月7日(火)〜8日(水)
●会場:in→dependent theatre 1st (火曜日のゲキジョウ参加公演)
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Critical Creation code:06「ゆきのふる」

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●脚本:大沢秋生(ニュートラル)
●演出・視覚構築:相内唯史(Critical Creation)
●出演:山岡美穂 × 水木たね
●2017年10月17日(火)
●会場:in→dependent theatre 1st (火曜日のゲキジョウ参加公演)
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Critical Creation code:07「コインランドリー・セレナーデ」

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●脚本:足立大雨
●演出:相内唯史(Critical Creation)
●出演:野倉良太 × 池山ユラリ(彗星マジック)
●2024年10月15日(火)
●会場:in→dependent theatre 1st (火曜日のゲキジョウ参加公演)
詳細→
posted by アイウチ at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月15日

「コインランドリー・セレナーデ」

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夜、静かな住宅地のコインランドリー。
男は洗濯機を回しながら黙々と書き物をしている。
そこへやって来た女は、自分も洗濯を始めると、ためらいがちに男に声をかける。「それ、何を書いてるのですか?」
好奇心、疑問、秘密、確信…。
「手紙を書いています。」男が穏やかに語り出す…。
それはコインランドリーで奏でられる小夜曲。

出演:野倉良太 × 池山ユラリ(彗星マジック)

脚本:足立大雨
演出:相内唯史(Critical Creation)

日程■ 2024年10月15日(火) ※火曜日のゲキジョウ30×30参加

会場■ in→dependent theatre 1st

料金■ 前売当日とも2,000円

開演時間■ (1)18:30〜・(2)20:15〜
※にーまるにとCriticalCreationが約30分の芝居を2本連続上演いたします。チケット1枚で2作品を観劇できます。

チケット予約■ 9/15(日)10:00開始
WEB予約=こちらをクリック!
メール予約=cc@at-will.jp
メール予約は、日時・枚数・お名前をご連絡下さい。

演劇においてプロデューサーを本業とする相内が、より質の高い仕事をする為の研鑽の場として、自らクリエイションする個人ユニット。思いがけず7年ぶり7回目の公演。

posted by アイウチ at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月24日

「ゆきのふる」とは何か。

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お疲れ様です!相内唯史です。
一週間たってしまいましたが、火曜日のゲキジョウ 30×30
「Critical Creation×まいあがれ」無事終了致しました。
約2年半ぶりの自ユニットでの演出作品。
結構大変だったけど、楽しみました。

さて、お気づきの方も多いかと思いますが、このブログの感じ…。

そうです、大人気作家二朗松田さんのブログでの自作解説テイストです。
いつも読んでて、やってみたかった。なのでタイトルはまんまですww
(キチンと二朗さんには許可もらってますので!)

では、「ゆきのふる」の解説いきますよ。
すっげ〜長いですが、ごゆっくりお読み下さい。


まずは、ご覧頂いていない方でこのブログを読む方もいないとは限らないので、かつ観たけど忘れちゃったっていう残念な方の為に、あらすじから。


【あらすじ】
夜中にふと、目が覚めた。
そっと カーテンを開くとそこには、明るい月の光に照らされて、真っ白な世界が広がっていた。
いつの間にか雪が降り、今は止んで、目に入るあらゆるものが白い雪をかぶって佇んでいる。
どこかで、降り積もった雪が、屋根から落ちる音がした。
さっきから、胸騒ぎが続いてる…。
私の他にも、きっとどこかで、夜中に目が覚めて、この美しい景色に気が付いた誰かがいて、そんな誰かに会えるような気がして、私は急いで準備を済ませると、ドアを開けて夜の中を歩き始めた。


という所から始まるお話です。あらすじというか脚本の冒頭部分を僕が再編集したテキストなんですが、ちょっとそそる出だしじゃないですか?まぁ、この後、まさかの展開が待っているんですが…。

まずは企画のスタートから。
僕の個人ユニットCritical Creationでは、自身のスキルアップも含めて、演出やビジュアル面に凝った実験的だけどドラマ的にはわかりやすい作品を主に扱っています。年に1作くらいはやりたいのですが、実際には2年に1作位のペースになっています。
今回、今シーズンの火曜日のゲキジョウの参加団体がまだあまり集まっていないタイミングで、自ら一枠埋めよう。30分の短篇だったら、忙しい中でも創れるかな?と思って参加を決めました。

さて、脚本はどうしようと考えた時に、直ぐ思い浮かんだ2本がありました。1本は関東の女性作家さんの作品でラブコメ。(こちらも既に上演の承諾は得ていて、来年には上演できたらなと密かに準備を進めています。)
もう一本が今回上演した「ゆきのふる」。2010年2月に大沢秋生さんのユニット「ニュートラル」でイベント参加作品として上演された作品。
初演は、大沢めぐみさんと河上由佳(満月動物園)さんが演じてまして、凛々しくて美しいお二人の姿、そしてファンタジーを纏いつつリアルな内容にもグッと来た作品で、強く印象に残っていました。

この脚本だ!と思ったのと、キャスティングはほぼ同時に思いつきました。山岡美穂ちゃんと水木たねちゃん、少し前にそれぞれ別の機会に出会って、いずれご一緒したいなと思っていた二人がこの脚本と結びつきました。
ご覧頂いた方はお分かりかと思いますが、カタカナで書くと同じ名前の同い年の二人という事で、似ている訳ではないけれど、少し近い性質や雰囲気を持った二人が良いと思っていました。この二人はまさにピッタリでした。

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二人はお互いに初めましてだったのですが、実際に今年3月のフライヤー撮影&顔合わせで引きあわせて見ると、身長と足のサイズがぴったり一緒だったり、大好きなマンガが一緒だったり、別のタイミングで同じ作品に同じ役で出演していたりと、不思議なシンクロニシティでした。
正直、この時点で「勝ったな」と思いました。いや、何にか知りませんがww

脚本とキャストが決まった時点で、演出プランの検討に入りました。演技に関しては稽古場で俳優と創っていくので、この時点では、ビジュアルや効果面を中心とした大枠部分。
まず、客席を含めた劇場の空間全体を一つの画とする事。単に客席を使うとかではなく、観客も二人と同じ雪景色や揺れる地面の上に居るように体感できること。具体的には、客席も含めて降る雪の映像、劇場全体を染め上げて行く照明、客席後方から迫ってくる地響きの音、と言った部分です。
それを実現するとなると、映像やムービング、客席への機材仕込み、スピーカーの増設など、通常の火曜日のゲキジョウのスペックからは大幅にはみ出す事になるだろうと、最初から想像が付いていたのです。だからこそ対バン相手に「まいあがれ」(先に決まってた)を選びました。
室谷さんは、おとなしそうに見えてグイグイ来るイメージがあったので、一方的に迷惑をかけるパワーバランスにならなそうwwだと思ったし、米山と中嶋とは気心が知れすぎているので。
大人げない闘いをする以上、それ以外に関しては大人の配慮をするのが正しい大人です。(名言?!)
こうして、シーンごとのビジュアルイメージと具体的な効果(ココは映像、ココはムービング、色は…、みたいに)をざっくり考えました。欲張り過ぎない、盛り過ぎないがポイント。正直何でもできる状況になってしまうと、画が飽和してしまって、本当に伝えたい内容や感情が伝わらなくなってしまうので、やり過ぎ注意。(それでも今回少しやり過ぎたかもとも思います。)
流れとしては、静かな滑り出しから、徐々に効果を足していき、まずは目で楽しませ世界観に馴染んでもらって、肉声で喋り始ると今度は想定外の内容と効果で驚きを演出し、核心となるシーンでは、画は一切動きません。会話の内容と二人の微細な表情、声だけに集中してもらいたいからです。

これと並行して、選曲を進めます。
選曲が一番自信があって、楽しい部分でもあります。莫大な候補の中から絞り込むために、毎回何かの縛りを決めています。今回は、初演のニュートラル版でかかり印象的だったPerfume「SEVENTH HEAVEN」に敬意を表して、この曲を外したPerfume縛り(厳密には作曲家の中田ヤスタカ縛り)としました。

僕個人としては、演出として狙いすました使い方(クロムモリブデンみたいな)を除いて、知ってる曲・わかりやすい曲が劇中でかかると途端に覚めちゃうタイプなので、今回は結構難しい縛りだったのですが「Perfumeっぽいな、まぁアイウチPだし…」までの範囲で、具体的な曲名はわからないレベルが目標点でした。もちろん、そのシーンの画に合わなくては何の意味も無いのですが。まぁそこは立場上「僕がPerfumeを一番うまく使えるんだ!」(アムロ風)と言っておかなくてはいけないだろうとww
もう一つは、Perfumeに代表される中田ヤスタカの楽曲が、インスト(カラオケ)で聞くと、ボーカル入りとは少し印象が違い、ボーカルのカゲに隠れている細やかな音や遊びが入っているという事をこっそりアピールしたいという想いもありました。そしてそのことが曲名言及を難しくするうえでも効果があるだろうと。

では、セットリストを紹介していきましょう。
まずは、キンソン(M0)から。

●M0:Perfume「マカロニ」(インスト)

キンソンは一番最後に決めました。厳密に言うと、他の曲は3月の顔合わせの時点で確定していましたが、キンソンだけは稽古が進んでから決定しました。シングルのカップリング曲ですが、Perfumeの曲の中では比較的知られた曲なので、少し躊躇がありましたが、サビからのあおりと暗転が最も気持ちよくしっくり来る事が決め手になりました。
また、この曲の歌詞は恋愛を語っているとは思うのですが、歌い出しの最初の部分は、この作品のシーンや二人の関係にマッチする部分があるなというのも選曲理由の一つです。まぁインスト版ですし、「ゆきのふる」の二人は名前が一緒なので、そりゃ呼び合ったら照れるでしょうがww
気になる方は歌詞もご参照ください

●M1:Perfume「23:30」(インスト)

女1が、家を出て夜の雪景色の中を歩きだす所でかかる曲です。「ワンルーム・ディスコ」のカップリング曲なので、Perfumeファンでないと分からないのではないでしょうか?彼女らの曲にしては珍しいジャジーでメロウな曲調とリズムが深夜の雪道散歩にぴったりではないかと。何か少し寒い(温度の低い)気配もしますし。23:30という時間は少々気になりますがww
また、この曲も歌詞が「ゆきのふる」とリンクしています。「いつかは昇るよ 新しい日が来る」物語のラストシーンをあらかじめ暗示させています。(ってわかる人まずいないけどww)我ながらちょっと神がかってる!
気になる方は歌詞もご参照ください

●M2:Perfume「575」(インスト)

女1と女2が出会って、二人で街を歩きだす所から、周りが見渡せる丘に登り、雪が降ってきて駆け出し、雪合戦をして疲れはて、雪面に横たわるまでのパフォーマンスっぽいシーンにかかる曲です。
この曲も「VOICE」のカップリング曲。カップリング万歳!ボーカル入りは実際に七五調で、ラップの部分もある、リリース時点ではPerfumeの中でも異色の曲でした。
シーンの動きは全て曲合わせで、三人で創りました。走り出すところや、雪合戦部分の高揚感など、曲の進行とシンクロしているかと思います。
この曲は特に歌詞とはシンクロしていません。強いて言えば、「おやすみ おはよう」って出てきます。
気になる方は歌詞もご参照ください

●M3:中田ヤスタカ / Perfume「Journey」(インスト)

物語の核心を描くシーンの頭から最後まで流れ続ける曲です。この曲のみ単独ではネット上にありませんでした。のでこの曲が使われているPerfumeのドキュメンタリー映画の告知にリンクしておきます。(映画もオススメ)
そもそもこの曲、Perfumeのドキュメンタリー映画の為に中田ヤスタカによって書き下ろされた曲で、映画のDVD&BDの初回限定盤にのみ付属するCDでしか音源化されていないというマニアックなものでして…。流石にこの曲が解った人はほぼいないんじゃないでしょうか。
しかも「ゆきのふる」の台詞とシーンの進行に合わせるために、曲のフレーズをループさせたり、一部カットしたり入れ替えたりと編集の大手術を施しました。
が、実はわかりやすいポイントもあって、この曲は今回の他の使用曲と違って、最初からインストとして書き下ろされた曲で、メロディもオリジナルのものですが、部分部分にPerfumeの楽曲のフレーズが少し印象を変えて差し込まれています。たとえば「Dream Fighter」「ポリリズム」です。
ハイ!このポリリズムに気が付いた人はいたのではないでしょうか?ってか気づいて欲しい!
歌詞で言う所の「くり返す このポリリズム」のフレーズが、女1の台詞「同じことを繰り返してたような」とリンクさせています。しかもドンピシャを狙ったわけではないのに、稽古を進めてみるとこのセリフの前か後に曲のこのフレーズが百発百中で来るのです!
もともとこのシーンは、演技優先で、一切曲合わせするつもりはありませんでした。曲の終わりがシーンの終わりに重なりさえすれば良い。しかもそのために曲の方を編集するという方法を取りました。実際稽古をしていくと、二人のその時の感情や、手前までのシーンの状況(心・体を含めた両方)、相手によって、毎回芝居は変わりましたが(あらかじめ三人で設定したOKラインからは外れないように)、二人の間の取り方や台詞の速さが違っても、必ず最後には曲の最後の一音の前に女2=たねちゃんが「おやすみなさい」と言い、減衰していくその一音が途切れるかどうかという所で女1=美穂ちゃんが「おやすみなさい」と応えるように自然となって行きました。
そして、程度の差はあれ、稽古から本番までこのシーンでの美穂ちゃんの涙率は100%です。それほど芝居に入り込んでくれている美穂ちゃんを素直に凄いと思うとともに、自らの運命を知り、未練を残しながらも女1には前に向いて進んで欲しいと女2=たねちゃんがかける「生きてるって いいね」という柔らかな言葉も珠玉だったと思います。
曲に引用されているポリリズムのフレーズは極一部ですが、歌詞全体を読んで頂くと「ゆきのふる」の世界観と微妙に重なりあっている事を実感して頂けるのではないでしょうか?
「ポリリズム」の歌詞

●M4:Perfume「Baby cruising Love」(インスト)

ラストシーンから、コールまでの作品最後の曲です。「空に向かって手を伸ばす二人。 一日が始まる。 / おしまい」台本のト書きを読んだ時から、画は完全に浮かんでいました。決してストレートなハッピーエンドとは言えないこの作品を最も美しく希望を持って締めくくる画、その一瞬を彩る曲は?
意外にも直ぐに思い浮かんだのでした。「ゆきが降ってる」の台詞の後に、降り落ちてくる雪のようなイントロのメロディ、嬉しくなって外に出て行く準備をする高揚感、そして一瞬のブレイク(間)が絶妙の暗転ポイントになるこの曲。我ながら完璧だと思います。
この曲は、シーンとの親和性重視で歌詞とのリンクを重視してはいませんが、歌詞を読んでみると、ちょっとシンクロする部分もあるのが不思議です。
気になる方は歌詞もご参照ください
このシーンの解釈に関しては難しい所です。お客様の中にも「?」と思われた方もいるのでは無いでしょうか?ト書きには「明りがつくと、二人並んでベッド眠っている。やがて二人とも目を覚まし、カーテンを開く。」としかありません。このシーンの意味するところはお客様それぞれで良いのですが、私たちも何パターンも考えました。A:あの雪の夜の邂逅を通じて、女2の存在を感じている女1。B:二人のうち一人が偶然命を落とし一人が偶然命を拾った、偶然分かれた二人(生き残った場合)の運命が重なり合っている。C:あの日が無ければ、あり得たかもしれない未来。(つまり二人がどこかで出会って友人になった未来)
みなさんはご覧になられてどのように感じられたでしょうか?

以上、セットリストと共にシーンのイメージや稽古の過程をご紹介して参りました。

続いて頂いた感想などを参考に、もう少しメイキングを掘り下げてみます。(まだ書くの!?)

「ゆきのふる」まとめ

演技に関しては、基本ラインとして、完全にリアルに寄せはしないが、伝える為に必要な最小限を除いて不自然な誇張はしないという事を軸にしました。
女2=たねちゃんは、非常にバランスの難しい役で、子供でも大人でもいけない。しかも作中で、前半は自分自身の存在を理解していないため、命を失った子供の頃の感じが強い→後半自分の運命の帰結を思い出してからは大人に近い、という事をあまり観客には意識させずに見せたいという部分があり、それに応えてくれたと思っています。
女1=美穂ちゃんは、前半は自分のナレーションに合わせて芝居をするという、簡単そうで実は難しい事を丁寧にやってくれました。それでいて後半は、感情をさらけ出しながらの長台詞。感謝しかありません。
配役は最初から決めていましたが、稽古の途中では、役を入れ替えてやってみたことがあります。お互いの役や芝居への発見に繋がるのではないかと思い。実際に収穫がいくつもありました。

前半が、ナレーションだけで進行していくことに賛否を頂きましたが、これは台本上の指定です。ただ、ナレーションという指定だけで、実は女1なのか女2なのか、あるいは他の誰かなのかの指定は無いのです。物語を誰の視点で展開するかの重要な部分ですが、結論としては一番ストレートでわかりやすい女1(本人)に語らせる事にしました。
実は肉声で演じる事も検討してみたのですが、しっくり来なかった事と、肉声を発した所から、物語が動き出す事のドラマチックさを考え、ナレーションが正解だと判断しました。てか、初めて聞く二人の生声が、雪合戦でキャッキャしてる所、良くないですかww
ナレーションは、稽古初日にまず録音し、それで稽古を進めながら、芝居の尺や動きの表現が固まってきてから再度収録し直すという二段階をとりました。

また、作品自体の尺が短かったために、一部シーンを創作して加える案もありました。例えば、あの日を二人とも生き延びていた可能性の未来とか、生き残った方が逆の場合とか…。最終的には台本的には何も足さない何も引かないがベストだと判断し、22分という上演時間に落ち着きました。

稽古は、難航するんじゃなかろうか?と思っていたのですが、初日こそ三人で、どこからどう手をつけて行こうか…。という感じになりましたが、次の稽古ではほぼシーンの課題と概要が見えて大まかに動きがつき、方向性が固まりました。個別のシーンではなく、流れが大切な作品なので、後半は通しばかりという感じになり、逆に飽きが来て芝居が崩れてしまわないようにと、稽古を間引いて、数日寝かせたりしました。
スムーズに稽古が進行できたのも、微妙なニュアンスで説明し、わりかしOKエリアが広い割に、妙に細かい部分のある僕の演出に、しっかり付き合ってくれた二人のステキな女優さんのおかげです。ご一緒できた事本当に感謝です。また別の作品でもご一緒したいと強く思っています。

最後に、この作品は大沢秋生さんが、ご自身の体験に基づいて書かれたそうです。阪神淡路大震災の時、身内と同じ名前の人が無くなったと報道されていて、一緒に居たので大沢さん自身は生きている事を知っていましたが、連絡の付かない方たちは心配されていたそうです。
このお話は実は、終演後に聞いたのですが、僕が初演を観た時に魅かれた理由の一つに、僕自身の体験も重なっていたのかもしれないと、大沢さんのお話をうかがいながら思い出しました。
1985年8月、日本航空123便墜落事故。僕の幼馴染とその家族が同じ日に東京から大阪へ飛行機で移動すると聞いていました。そして事故の報道。まさか乗っていて巻き込まれていたりはしないだろうか?と子供ながらにとても心配したことを覚えています。それほど時間がかからず、その便では無く無事だった事を知るのですが、連絡がつかない間(携帯とか無い時代なんで)大変不安でした。

上演した日は、対バン相手が「まいあがれ」である事と、我々座組みのスケジュールの都合でしたが、奇しくも17日。阪神淡路大震災から22年と9か月目でした。あの日亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
観終って劇場を出た後、生死に関係なく今すぐは会えない誰かの事を思うような、そんな時間が生まれていたら上演した甲斐があるというものです。

さて、自分でも書いてて恐ろしいほどの長文お付き合い頂きありがとうございました。

それでは、最後に一曲お聞きください!
今回、劇中使用(もちろんインストの方です)の候補でしたが、未使用の一曲。
Perfumeで「願い」、歌詞に注目して下さい。部分的にまるで「ゆきのふる」の二人の事を唄っているように感じるかもしれません…。

「願い」の歌詞

posted by アイウチ at 00:56| Comment(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月17日

「 ゆ き の ふ る 」

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夜中にふと、目が覚めた。
そっと カーテンを開くとそこには、明るい月の光に照らされて、真っ白な世界が広がっていた。
いつの間にか雪が降り、今は止んで、目に入るあらゆるものが白い雪をかぶって佇んでいる。
どこかで、降り積もった雪が、屋根から落ちる音がした。
さっきから、胸騒ぎが続いてる…。
私の他にも、きっとどこかで、夜中に目が覚めて、この美しい景色に気が付いた誰かがいて、そんな誰かに会えるような気がして、私は急いで準備を済ませると、ドアを開けて夜の中を歩き始めた。

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出演
山岡美穂 × 水木たね


脚本:大沢秋生(ニュートラル)
演出・視覚構築:相内唯史(Critical Creation)

日程■2017年10月17日(火) ※火曜日のゲキジョウ30×30参加

会場■in→dependent theatre 1st

料金■前売1,800円/当日2,000円

開演時間■18:30(CC)・19:10(ま)・19:50(CC)・20:30(ま)
※CriticalCreation(CC)とまいあがれ(ま)が交互に上演します。お客様は2作品連続でご覧いただけます。(18:30を予約すると18:30と19:10、19:10を予約すると19:10と19:50が観れます。)

チケット予約■9/17(日)10:00開始
WEB予約=https://www.quartet-online.net/ticket/171017?m=0gajhie
メール予約=cc@at-will.jp
メール予約は、日時・枚数・お名前をご連絡下さい。

プロデューサーを本業とする相内が、強く魅かれる作品・テーマ・俳優と共に自らクリエイションする実験的プロデュースカンパニー「CriticalCreation」。
二年半の沈黙を破って、第6弾決定。
初演時、限られた観客しか目にしていない、大沢秋生(ニュートラル)の隠れた名作を新演出にて上演!



ショーケース系の公演で、2010年の初演を観て強く印象に残っていた大沢さんの「ゆきのふる」。
初演の女優お二人がとてもステキで、それを越えられる二人と出会えたらいつかやりたいと思っていた作品。
山岡美穂さんと水木たねさんは、今回初めての共演なのですが、最初の読みあわせの緊張はどこへやら、宣伝美術用の撮影(冬の作品と言う事で、3月に既にヴィジュアル撮影を終えています。)をしているうちに、共通点もどんどん見つかってすっかり意気投合?!
僕自身も既に演出プランが固まり、選曲や映像、照明の仮データまで完成しています。9月後半の稽古開始が本当に楽しみです。
火曜日のゲキジョウ30×30は、2ユニットが30分の短篇を持ち寄る企画。相手方の「まいあがれ」も女優二人芝居で、とても評判の良かった作品の再演。つまり「名作女優二人芝居対決」のカードとなっていますので、自信を持っておススメできます。
どうぞ今から10/17はスケジュールを押えておいて下さい。ステキな時間をお約束いたします!


■ CriticalCreation クリティカルクリエイション ■
演劇においてプロデューサーを本業とする相内唯史が、プロデューサーとしてより質の高い仕事をする為に、これまで経験や知識の浅かった演劇の別分野に挑戦する個人ユニット。クリティカルとは臨界の意。ジャンル・職域の境界に挑み、既存のプロデューサー像の臨界を突破する所存。近年では演出に加え、これまで様々な作品で個別に取り組んできた、映像や照明、空間美術といった要素を統合した視覚構築に取り組む。


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2016年06月26日

「ゼ」に出ます!

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片岡自動車工業vol.1
「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」

脚本・演出:片岡百萬両
2016年6月24日(金)〜26日(日) at:in→dependent theatre 2nd

出演:加藤智之(DanieLonely)、米山真理(彗星マジック)、河上由佳(満月動物園)、上原日呂(月曜劇団)、中元優那、南雲飛鳥(劇団往来)、谷野まりえ(PEOPLE PURPLE)、吉田青弘、丹下真寿美、平田真希、川端優紀、鈴木洋平、宮川サキ(sunday)、すずきまいこ(宇宙ビール)、相内唯史(Critical Creation)、安藤光輝、安藤心愛、片岡百萬両、谷内亮太(ヴァイオリン)

片岡百萬両くんが立ち上げる新しいユニット「片岡自動車工業」さんの最初の作品「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」通称「ゼ」に出演させて頂く事になりました。
ガチの芝居に出演するのは初めてといって良いアイウチです。ちょっと不思議なポジションの役で出演しますので、是非観に来てください。
僕に関係なく、素敵な出演陣の揃った自信作の改定再演公演ですので安心しておススメです。

「アイウチ初出演のご祝儀でチケット買ってやるか!」ってな奇特な方は、是非下からご予約下さい。

携帯からの予約はこちらをクリック!



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2016年02月12日

まさかの出演…、に関する思い

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片岡自動車工業vol.1
「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」

脚本・演出:片岡百萬両
2016年6月24日(金)〜26日(日) at:in→dependent theatre 2nd

出演:加藤智之(DanieLonely)、米山真理(彗星マジック)、河上由佳(満月動物園)、上原日呂(月曜劇団)、中元優那、南雲飛鳥(劇団往来)、谷野まりえ(PEOPLE PURPLE)、吉田青弘、丹下真寿美、平田真希、川端優紀、鈴木洋平、宮川サキ(sunday)、すずきまいこ(宇宙ビール)、相内唯史(Critical Creation)、安藤光輝、安藤心愛、片岡百萬両、谷内亮太(ヴァイオリン)

片岡百萬両くんが立ち上げる新しいユニット「片岡自動車工業」さんの最初の作品に出演させて頂く事になりました。
発表を観て「?」「何の暴挙だ!」と思った方も多いと思います。
ステキな俳優さん達に素人が紛れ込んで申し訳ありませんが、思う所あり出演することを決めました。
最近、会う人会う人「出るんですよね!」って言われるので、ちょっと言い訳というか決意というか、書いておこうかなと思いました。

ほぼ初舞台です。「ほぼ」というのは、日替わりゲストとか、相内本人役として作品の舞台に上がることはこれまでも何度かあったからです。(みかんがむとかGiantGrammy、LowPowersなど。そういえば、51会で末満さんに刀で刺されるという経験もさせて頂きましたww)
ただ、基本的には分をわきまえて出演のお話はお断りしてきました。僕は非常にレアな演劇経験ゼロで劇場プロデューサーになった人間で(あっ、一応お断りしておくと、演劇経験はありませんが、それ以外のスキルやノウハウで任せて頂いたので、ただの一般人ではありません。)、演じるという経験はこれまでありませんでした。どうしてもご縁などでお断りするのが申し訳ない時だけ「演じる能力は無いので素の相内でよろしければ…」「世界観を壊さない範囲の出方なら」とお引き受けしてきた次第です。

今回も、片岡くんから「2ndで公演をやりたいです!」とお話を頂き、「いいね!何でも手伝うよ!」と言ったことがキッカケでした。片岡くんの作品は大好きだし、一人芝居フェスなどでもお世話になっていて、彼の新しいスタートを応援したいなという気持ちからで、当然制作周りとか宣伝とか、もしかしたら劇中映像とか、そういった部分を手伝う事になるだろうと思っての言葉だったのですが、そこから数か月後、まさかの「出演しませんか?」のお話…。
この時、断るべきだったんですよね…。でも面白そうだなって思っちゃったんです!

僕は、新しいことに挑戦するのが好きで、色々な事を経験してみたいタイプです。これまではそれが功を奏して(と思い込む事にしていますww)自分の知識や力になったり、仕事に結びついたりして来ました。
ですが、流石にこの歳になると、全く門外漢のことにはなかなか手を出しずらくなります。まして直接仕事に関わる演劇に関する事になると。
8年ほど前に、演劇経験ゼロからでも色々な人の助けを借りながら何とか突っ走ってきて、何とかやれていたけど、この先これじゃぁいけないんじゃないか?と危機感を感じて細々活動を開始したのが「CriticalCreation」でした。
いわば、遅ればせながら自分の演劇経験を積み直して行く個人活動です。演出と脚本に挑戦し、いつかは俳優もやるべきだろうなとは思っていたのですが、手つかずで…。
今回、片岡くんが声をかけてくれたのはチャンスなのかもしれない。と言う事で「迷惑かけるかもしれないけど頑張ってみる」とお返事させて頂きました。

初演をご覧の方は「あの役」かな?とぴんと来ているかもですが、ご想像にお任せいたします。
僕の印象としては、演じていないようできちんと演じていないといけない役だと理解しているので、実はハードルの高いチャレンジだと思うのですが、座組みの皆様にご迷惑をかけないように、楽しみながら頑張ってみたいと思っています。
幸いなのは、座組みの皆さんがほぼご縁のある方だという事。(あと芝居に関して厳しい人は一杯居るけど、理不尽に怒ったり怖い人が居ない事ww)
新人なんで、まずは稽古場の掃除から始めようと思いますww

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2015年04月08日

「目病み猫と水のない水槽」


プロデューサーを本業とする相内が、強く魅かれる作品・テーマ・俳優と共に自らクリエイションする実験的プロデュースカンパニー「CriticalCreation」。
三年半の沈黙を破って、第5弾決定。
第2回せんだい短編戯曲賞大賞を受賞した川津羊太郎作品の本邦初演に挑む!


C4-meyami.jpg


Critical Creation Code:05
「目病み猫と水のない水槽」


出演
塩尻綾香 × 濱本直樹(DanieLonely)


脚本:川津羊太郎
演出・視覚構築:相内唯史(Critical Creation / at will)

日程:2015年4月7日(火)19:30 4月8日(水)14:00・19:30
   受付開始・開場は開演の30分前から
会場:in→dependent theatre 1st
料金:前売・予約2,300円/当日2,500円/撮影ステージ1,800円
   撮影ステージは4/8マチネのみ、撮影優先の為通常より舞台から遠いお席となります。
予約:こちらをクリック!(当日窓口精算のご予約を受付中!)

茶トラの目病み猫が青年に連れられて部屋にやってきた時、
殺風景なワンルーム8帖のアパートの部屋のほとんど中央に、
その何も入っていない空っぽの水槽は置かれていました−。

『街に浮遊する信号器』で第2回せんだい短編戯曲賞大賞を受賞した川津羊太郎氏。彼が前年の第1回せんだい短編戯曲賞で最終ノミネートされた戯曲『目病み猫と水のない水槽』。選考委員を務める相内が、作品に出会った時から上演を熱望した作品。
高く評価されながら未だ上演されていない未上演作品の初演に、相内がこれまでの作品や現場では、それぞれ個別に取り組んできた映像や空間美術、照明・音響を統合した演出、視覚構築=ビジュアルコンポジションで挑む−。


click clock × Critical Creation =[ C4 ]

この公演は、共に略すとCCになる、click clockとCritical Creationがそれぞれ約1時間の短編を連続上演する企画[C4]の参加作品です。
1枚のチケットでclick clock「キリコの諷景」とCritical Creation「目病み猫と水のない水槽」の2作品(合計約120分)がご覧いただけます。
また火曜日の公演は、インディペンデントシアターの平日企画「火曜日のゲキジョウ」に参加しています。

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2011年10月18日

souvenir - ep4

「えっ、そんな暇あんの?」
止まると死んじゃう男=相内が演出し、
こっそり行うシークレット?!ステージ。
3年かけて、遂に4話完結の最終話を上演。


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Critical Creation code:04「souvenir - episode4」

演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
脚本:戒田竜治(満月動物園)+タダシアイウチ(Critical Creation)

出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、南田吉信(劇団大阪新撰組)
    西出奈々(彗星マジック)、白木原一仁(ななめ45°)、河上由佳(満月動物園)、伊藤由樹

日程:2011年10月18日(火) 18:30 / 20:00
   受付開始は開演の30分前、開場は開演の15分前から
会場:in→dependent theatre 1st
料金:前売・当日とも1,500円
予約:こちらをクリック!

自分の好きなものを堂々と「好き」と言いづらくなってしまった世界。
ひなびた商店街にある喫茶店では、今日もマスターがコーヒーカップを磨いている。
ちょっとした秘密。メニューの一番下には「スペシャリテ」(とっておき)。
スーベニール[贈り物・形見]。
それはコーヒーの香りと共にお贈りする、とても静かで優しい形見分けの物語。

※今回は全4エピソードから構成される物語「souvenir」のうち最終話のエピソード4を上演。上演時間約50分の短編です。
続きのお話ですが、なるべく一話完結になるように創っています。
とはいえ、今回は特に最終話ですので、できれば前回公演までのあらすじを読んでからご来場頂ければ幸いです。

■エピソード1のあらすじ
■エピソード2のあらすじ
■エピソード3のあらすじ:近日公開
■souvenirの物語設定について
■CriticalCreationについて

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2011年02月15日

souvenir - ep3

「えっ、そんな暇あんの?」
止まると死んじゃう男=相内が演出し、
こっそり行うシークレット?!ステージ。
2年の沈黙を破って第3弾上演。


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Critical Creation code:03「souvenir - episode3」

演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
脚本:戒田竜治(満月動物園)+タダシアイウチ(Critical Creation)

出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、西出奈々(彗星マジック)
    白木原一仁(ななめ45°)、河上由佳(満月動物園)、伊藤由樹(突劇金魚)

日程:2011年2月15日(火) 18:30 / 20:00
   受付開始は開演の30分前、開場は開演の15分前から
会場:in→dependent theatre 1st(火曜日のゲキジョウ参加公演)
料金:前売・当日とも1,500円
予約:こちらをクリック!

自分の好きなものを堂々と「好き」と言いづらくなってしまった世界。
ひなびた商店街にある喫茶店では、今日もマスターがコーヒーカップを磨いている。
ちょっとした秘密。メニューの一番下には「スペシャリテ」(とっておき)。
スーベニール[贈り物・形見]。
それはコーヒーの香りと共にお贈りする、とても静かで優しい形見分けの物語。

※今回は全4エピソードから構成される物語「souvenir」のうちエピソード3を上演。上演時間は45分~50分ほどの短編です。
続きのお話ですが、なるべく一話完結になるように創っています。
とはいえ、できれば前回公演までのあらすじを読んでからご来場頂ければ幸いです。

■エピソード1のあらすじ
■エピソード2のあらすじ
■CriticalCreationについて
■souvenirの物語設定について
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2011年02月08日

souvenir - ep2 あらすじ

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東京郊外、その喫茶店は病院の門前町である商店街の片隅にひっそりとある。
コーヒーが美味い以外にこれといって特徴の無いその店では、マスター:デヤマ(森下淳士 from 劇団ころがる石)が今日もコーヒーカップを磨いている。

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マスターの過去の秘密。それは指定図書流通禁止法制定反対の市民運動で中心的な存在として活動していた、マツモト(諏訪いつみ from 満月動物園)を監視することだった。駅前のロータリーでマツモトを監視するデヤマの元に、内閣調査室課長のイタヤ(白木原一仁 from ななめ45°)がそっと近付く。仕事熱心なデヤマを褒める部長に焼き肉をおごってもらったと自慢するイタヤ。
「ま、頑張ってよ。市民運動やってるヤツなんか、ちょっとおかしなヤツばっかりだと思うけど、牛丼おごるからさ。」
「僕も焼き肉が良いですね。」というデヤマを置いて、イタヤは立ち去った。

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店には、今日もハヤシ(2役/諏訪いつみ from 満月動物園)とイシヅカ(河上由佳 from 満月動物園)が来ている。ハヤシはすっかり店に馴染み、同じ常連のイシヅカとも自然と話せるようになっていた。
勤務する病院の医療過誤問題を告発したイシヅカは、クビを覚悟したが、実際には関係者の処分などの影響で、より忙しい毎日を過ごしていた。元々、医療の質には定評のあった病院は、医療過誤を隠蔽していた理事長を解任し、事態を収拾したことで持ち直していた。
「あのハゲが悪い。ハゲ理事長がちゃんとしてれば最初から良い病院だったのに。ハゲ、死ね。」
とそこに常連の老紳士マツダイラ(殿村ゆたか)が店にやって来たから一同はこらえるのに必死だ…。マツダイラが帽子を脱ぐと頭頂部は寂しい感じだ。

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イシヅカは、先日マスターが話してくれたブルマンの注文に日替わりのブレンドを間違ってだしてしまった一件の相手はマツダイラだろうと問いかけ、わざと日替わりを出してみようとイタズラを提案する。寝不足でテンションのおかしいイシヅカだったが、新聞に今期の指定図書として自分の好きだった本が入っていることがわかり残念がる。

イシヅカが去った後、マツダイラはイシヅカが自分の娘の小さかった頃に雰囲気が似ているとマスターに話す。新聞には大した事件は無いというマツダイラは、昔に比べて治安が良くなったのは指定図書流通禁止法のお蔭ではないかと言う。
「ボクはそう思うね。こう、なんていうか締まったよね。空気が。自由すぎるのも考えものだよ。みんなやりたい放題でさ。」

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そこに、店の外の何かを探る素振りでイタヤが店に入ってくる。窓の外に意識のあるイタヤは初めデヤマに気付かず、オーダーする時に初めて顔を見て驚く。
「なんだお前、こんなところで何してるんだ。」
「喫茶店の店長をしてます。」
「あぁ、そうだよなぁ。いや、久しぶりだなぁ。」

「なんで、今頃…」
突然のイタヤの来訪にマスターの記憶は、マツモトの遺品を引き取ったあの日に戻る。

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マツモトの部屋で遺品の整理をするデヤマの元をイタヤがたずねた。
「残念だったな…。運び出すんなら手伝うよ。」と声をかけるイタヤ。
マツモトの不審な自殺に疑念を抱くデヤマはイタヤを問いただす。
「マツモトは自殺するような人間ではありませんでした。課長。なにか知ってるんじゃないですか?」
「なにも知らんよ。…知らんよ。俺は」とはぐらかすイタヤ。
だがデヤマはそんなイタヤの言葉に疑惑を確信する。
「知らんよ俺は、ってじゃぁ誰が知ってるんだよ。わざわざ言い直しやがって…。」
マツモトの自殺には何か裏がある…。

数日後、夕刻の喫茶店。
店にはイタヤとイシヅカが来ている。
何故辞めてしまったのかと問うイタヤにデヤマは「自分には少し重すぎました。自分がなかなか割り切れない質なんだって分かりましたから。」と応える。デヤマは、マツモトの死の一件で内閣調査室を辞職したのだった。
「お前、まだあの子のこと引きずってるのか?」

そこにハヤシがやってくる。
「マツモト!」驚きを隠せず、持っていた新聞を取り落としてしまうイタヤ。
「ハヤシ…ですけど…」
「人違いでした。」
マツモトと酷似しているハヤシの姿に、冷静で飄々としているイタヤも穏やかではいられなかった。
そこにマツダイラもやって来て、店は急ににぎやかになる。

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「引きずってるあの子って誰なの?」とマスターに話かけるイシヅカ。
昔の事だとはぐらかすマスターにイシヅカはさらにたたみかける。
「昔の仕事の話には興味無いけど、昔の恋の話には興味あるね。」
そこにマツダイラまで参戦して、旗色の悪いマスターはイシヅカに「そういう自分はどうなの?恋人には会えてるの?」と反撃すると、「仕事が楽しくて、恋だの愛だの言ってる間が無い」というイシヅカ。
すると「くだらん。」と突然マツダイラが怒りだした。
「仕事は何も残してくれません。どんなに頑張ったって、いつかあなたが辞めても仕事が止まることはないんです。仕事とはそうしたものなんです。もっと自分の人生を大事にしないとダメですよ。」
その言葉に納得のいかないイシヅカとマツダイラの間で口論になってしまう。
それを一喝したのは、ハヤシだった。
「大事なものが人それぞれで、何が悪いんですか?人が大事にしているものを大事にしてあげられない方が問題だと思います。」
普段物静かなハヤシの強い言葉に驚く一同。
やがて一人取り残されたマツダイラは、マスターに自分の境遇を語る。

自分の娘に似ているイシヅカを心配してしまう気持ち。
仕事にのめり込むあまり、家庭が冷え切ってしまったこと。
その哀しみから、女房と娘を捨てて若い女と逃げてしまったこと。
その若い女と今はそれなりに幸せな老後を送っているが、今は昔ばかり想い出してしまう事。
ブルマンも昔の女房が好きで、娘が「ブルマン」と口真似していた事。
その娘もかつての自分のように、仕事にのめり込んで大切なものを見過ごしていないか心配な事。

「会いたいんですよ。前の女房と娘に。会いたいんですよ。情けないことに。でも今さらどんな顔をして連絡したものかもわかりませんしね。」
そう、告白するマツダイラにマスターはスペシャリテを薦めるのだった。
「スペシャリテ。当店の特別なメニューです。でも、一週間くださいますか?仕込みに時間がかかるんです。一週間たってまだスペシャリテの響きを必要としていたらオーダーして下さい。必要が無くなれば、忘れて頂いて結構です。」

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マツダイラがスペシャリテをオーダーして帰った後、マスターは先ほどのハヤシの言葉を思い返す。
それは、マツモトも何度も口にした言葉だった…。
マスターの記憶は、マツモトとの様々な場面に帰っていく。
法案反対運動もいよいよ行き詰る中、手を引かせようと説得するデヤマに、マツモトはデヤマが、法案を通したい体制側の人間であることを知っていると告げる。それでもデヤマを想う気持ちに変わりは無いと一冊の本を差し出す。「この本、貸してあげる」
それはマツモトからデヤマへ直接手渡された最期の一冊だった。

一週間後、会計を済ませて帰っていくイタヤ。
ハヤシはマスターに質問する。
「あの人って、マスターのお知合いなんですよね?私のこと誰と間違えたのかしら。」
そして、先日の一件をわび、近頃姿を見ないマツダイラを案じるのだった。
すると久しぶりにイシヅカが来店。休暇をとって温泉で少しのんびりして来たイシヅカは、悔しいけどあのハゲ(マツダイラ)の言う事も一理あると認めるのだった。
そこへマツダイラが来店。先日の事を詫びるマツダイラに居心地の悪いイシヅカは、コーヒーをぐっと飲み干して帰って行った。

すっかり嫌われてしまったと意気消沈するマツダイラを「照れ臭いだけだ」と励ますマスター。マツダイラは一週間楽しみにしていたスペシャリテをオーダーする。
一週間の間、マツダイラはハヤシの言葉をかみしめて、自分の大切なもの、人の大切なものについてゆっくり感がる事が出来たと語る。それはとても素敵なことだったと。
やがて、マスターがとっておきのコーヒーを出すと、ブルマンの味も分からないマツダイラだが、そのコーヒーの美味しさは格別だった。
「コーヒーってこんなにおいしかったのか…」

やがてマスターはマツダイラに一冊の本を差し出す。
「この本は答えでもアドバイスでもありません。答えはあなた自身のものだからです。ただ、この本はその参考に。あなたがキッカケを求めているなら、その肩をそっと押してあげられるかもしれません。」

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「人生は余白の中にあるような気がしていますよ、今は。」と応えるマツダイラ。
ゆっくりと本を開くとページの間から紙片が出てきた。
「大将。本の間に、なにか挟んであるよ。」
そこには、懐かしいマツモトの筆跡で「明日はきっといい日だ」と書かれてあった。
まるで、デヤマへメッセージを残すように…。

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(幕 to be continued / ep3へ)
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2011年02月07日

souvenir - ep1 あらすじ

東京郊外、その喫茶店は病院の門前町である商店街の片隅にひっそりとある。
コーヒーが美味い以外にこれといって特徴の無いその店では、マスター:デヤマ(森下淳士 from 劇団ころがる石)が今日もコーヒーカップを磨いている。
店の常連客の一人である女刑事サワダ(原典子 from 満月動物園)は今日もサボリだ。
マスターが「パトカー」というと、サワダはあわてて顔を隠す。
犯罪者か警察かわからないとマスターが茶化していると、もう一人の常連客、病院の看護師イシヅカ(河上由佳 from 満月動物園)が休憩にやってきた。
最近忙しく休憩時間もろくにとれないイシヅカは「世の中から病気がなくなったら失業なのが辛い」とこぼすが、マスターは「今そこにある危機を解決する人は必要」だと答えるのだった。

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イシヅカはふと店のメニューの一番下に小さく書かれている「スペシャリテ」が気になりマスターに尋ねる。
「ねぇ。このメニューに書いてあるスペシャリテって何が出てくるの?」
「スペシャルなものが出てきますよ」
「おっと、ミステリアス」

眠気さましに新聞を読み始めたイシヅカは指定図書発表の記事を目にする。「どうせくだらない本なんだろうな」と口にするイシヅカにマスターは、「そんな言い方は良くないよ。その本の事が好きな人や、その本に救われた人がいるかもしれない。そんな人にとったら、くだらなくはないんだから…。」と話すのだった。
今、この国では「低俗あるいは悪意ある図書が与える影響から青少年を守る為の流通禁止に関する特別措置法」通称「指定図書流通禁止法」が成立し、毎月のように流通を禁止する指定図書が発表され、言葉が狩られている。

サワダとイシヅカが去り、店を片づけながらマスターは、指定図書流通禁止法に反対運動を展開していた恋人、マツモト(諏訪いつみ from 満月動物園)の事を想い出す。
運動にのめり込んでいくマツモトを心配するデヤマは、「くだらない本が読めなくなるだけだ」と止めようとするが、マツモトに「その本が大好きな人だっているかもしれないじゃない。その本で救われた人だっているかもしれないじゃない。その人にとっては、くだらない本じゃないわ。大事な本。」だと諭される。「意見にバリエーションの無い世界はおかしい」「いったん法律ができたら無くならない
、きっとずるずる基準が厳しくなる」と言うマツモトの言葉を受け止めながらも、ストレートに同意できないデヤマ。彼には彼女には語れない秘密があった…。

数日後、珍しく朝早くにサワダが店を訪れる。これから指定図書のガサ入れに行くという彼女は新たに発表された指定図書のリストを確認しながら「なんでこんなもの出版するかね。指定されるのわかりそうなもんなのに。」と呟く。マスターはそれに「書かずにいられなかったんでしょ」と応える。

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そこに入って来た客に、マスターの動きが止まった。
その客ハヤシ(2役/諏訪いつみ from 満月動物園)は、かつての恋人マツモトに酷似していた。
その様子を敏感に感じ取ったサワダは、ハヤシが何だか気にとまってしまう。
そこに疲れた様子のイシヅカがやってくる。2回転目の勤務が終わり、帰る前によった彼女に、マスターはよく眠れるというハーブティ「マージョラム茶」を出す。
静かにそれを待つイシヅカはマスターに「コーヒー豆を間違えたことがある?」と問う。
マスターはブルマンの注文に日替わりのブレンドを出してしまった失敗を話すが、客は気付かなかった様子だった、と答える。
マージョラム茶を飲みながら、イシヅカは「病院じゃぁそうはいかないよね…。病院には病気を治しに来るわけだし。間違えちゃいけないよね。」と話す。
何かを抱えた彼女の様子にマスターは、店の特別メニュ「スペシャリテ」を薦めるのだった。
「でも、一週間くださいますか?仕込みに時間がかかるんです。一週間たってまだスペシャリテの響きを必要としていたらオーダーして下さい。必要が無くなれば、忘れて頂いて結構です。」

マスター:デヤマは再びマツモトの事を思い返す。それは彼女の遺品を引き取った日…。
指定図書流通禁止法制定反対のジャンヌダルクと呼ばれた彼女は、運動の渦中で謎の自殺を遂げた。身寄りのない彼女の遺品を引き取ることになったデヤマは、初めて彼女の部屋を訪れる。そこには壁一面、床から天井まで、寝る場所以外に足の踏み場もないほど「本」が積まれていた…。

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イシヅカにスペシャリテを薦めてから1週間後、店にはハヤシがやって来ていた。
いつもコーヒーカップを磨いている姿を「落ち着く」と告げると、マスターは「いつも磨いていないと同じままじゃいられないような気がする。ほんのすこしずつ汚れて変わっていってしまうような気がする」と語る。
平凡で引っ込み思案な日常を変えたいと思っていたハヤシは、一人で入ることも出来なかった喫茶店に通うようになることで、少しずつ自分が変わりつつあることを自覚していた。
ハヤシが去り席を片づけていると、イシヅカがやって来てマージョラム茶を注文する。
準備を始めたマスターに、イシヅカは今日が1週間後だった事を思い出しスペシャリテをオーダーし直す。

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スペシャリテを用意するとっておきの時間。
やがて、マスターが入れたとっておきのコーヒーがイシヅカの前に…。

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とっておきのコーヒーを愉しむイシヅカに、マスターは一冊の本を差し出す。
「この本は答えでもアドバイスでもありません。答えはあなた自身のものだからです。ただ、この本はその参考に。あなたが答えに向き合う時に肩を押してあげられたら、あるいは気が楽になれば幸いです。」
差し出したその本は、この国からはもう「ないこと」にされてしまった本=指定図書の中の一冊。それはマツモトが大切にしてきた本たちの中の一冊だった…。
「相手の事を本当に考えないと本は渡せない。だから自分は人に本をプレゼントしたことがない」というイシヅカは、本を受け取る事を本当に嬉しいとかみしめていた。
そんなイシヅカの様子を見ていたマスターは、マツモトから本を受け取ったある日の事を静かに想い出すのだった…。

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(幕 to be continued / ep2へ)
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2011年01月23日

souvenirはこんなお話 [追記]

■ souvenir スーベニール■

自分の好きなものを堂々と「好き」と言いづらくなってしまった世界。
ひなびた商店街にある喫茶店では、今日もマスターがコーヒーカップを磨いている。
ちょっとした秘密。
メニューの一番下には「スペシャリテ」(とっておき)。
スーベニール[贈り物・形見]。
それはコーヒーの香りと共にお贈りする、とても静かで優しい形見分けの物語。

souvenirは1話完結の全4エピソードで構成。
各エピソードを短編として、上演したのち、再構成して2時間弱の作品を製作予定。


■ souvenirの世界観〜ちょっとまじめな話

作品の底にあるちょっと重くてまじめな話をしますが、souvenir自体はとても静かで優しい物語です。毎エピソード気楽に観ていただける40分前後を予定しています。

souvenirは、言論の自由に制限が生じてしまった少し先の日本を舞台にしている。
少年犯罪の増加や、大人のモラル低下など、現在の状況に端を発して「低俗あるいは悪意ある図書が与える影響から青少年を守る為の流通禁止に関する特別措置法」通称「指定図書流通禁止法」が成立し、数年が経過した社会。
法案の制定時には、憲法に明言された「言論の自由」に反するとして反対運動も盛り上がったが、最終的には政治的無関心やさらなる犯罪の低年齢化が要因となって成立した。一部のメディアや活動家たちを除いて、今では数ヶ月に一度の流通禁止指定図書の発表も日常として受け入れられてしまっている。

僕は、この作品を通して大上段に社会派ぶるつもりはない。
ただ「自分の大切に思うものを公の権力に否定される」のって辛いな。という想いとそういった事に無関心でだけは居たくないという想いがある。

こんな経験は無いだろうか?
友人たちとの会話の中で、自分の好きなものが否定される場面。
なんと無くその場の空気を読んで曖昧に相槌を打ったりして、後から後悔したり傷つく。
本当に大切なものだったら正面切って闘えるんだろうけれど、それなりに好きなものだったら、場の空気や友人との関係を優先してしまったり、でも実はそれなりに好きなものって実はたくさんあって実は貴重だったり・・・。

また、こんな経験もこの作品に影響している。
僕が子供の頃好きだった絵本に「ちびくろサンボ」がある。
様々な出版社から色々なバージョンが販売されていたこの絵本は、1988年を境に一時期、書店や図書館から姿を消した。黒人差別の本だと指摘され、当時の世相から出版各社が自主的に回収した為だ。(注:現在は復刊されている)僕は、その時何だか悲しかったし違和感を感じた。

表現の自由を盾に、何でも表現してよいとは思わないし、明らかに卑猥だったり表現する価値が無いと感じざる負えない様なものは存在すると思う。でも、仮にも表現の場の端っこに席を置く人間として、こういうニュースや話題に無関心ではいられないなぁと思う。

放送禁止用語や自主規制など、じわじわと表現の自由の外枠は狭められているような気がしてならない昨今、いつかsouvenirが描くような世界にならないとは言い切れないような気がしてしまう。

souvenirでは、この法案成立の激動に巻き込まれた人たちと、すでに法案成立した日常を生きる人たちの交流が描かれる。

繰り返しますが、souvenirは難しいお話でも重苦しいお話でもありません。ただ自分の想いに素直でいたいと生きる人たちの静かで優しいお話です。

[2011年1月追記]
今、東京都青少年健全育成条例改正やその周辺の問題が大きく取りざたされていますが、この「souvenir」という物語のプロットを作り上演を開始した2008年の段階では、まさかここまで今のような深刻な事態になるとは思っていませんでした。
もともと上にも書いているように、社会派ぶるつもりは無く、「自分の大切に思うものが公に否定される哀しみ」を描けたら良いなと思っていて、加えて表現の規制などに少し興味や危機感を持ってもらえたならなお良しくらいのつもりでした。
作品のたどり着いたところは随分と変わりましたが、大好きな小説家、有川浩さんの図書館戦争シリーズにインスパイアされて産まれたプロットです。
図書館戦争シリーズは本当に大好きなのですが、いくら表現の自由を守るためとはいえ、図書館が武装し実質内戦状態になるというのは、現実にはおこり得ない、おこってはいけない事です。
でも、政策によって表現への規制がじわじわと社会を蝕むことは、リアルに起こり得るのではないか?そして、そういった規制のほとんどが「善意」や「正義感」からスタートし、やがてその最初の理想が歪められていってしまうという現実…。そうして考えた設定でした。
今、完全に現実が物語に追い付きつつあります…。相変わらず、社会派ぶるつもりは毛頭無いのですが、今まさに上演する意味のある作品にしたいなとは思っている今現在です。
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CCチケットの予約方法

舞台を広くとっているので、各回最大40席限定となります。
できればご予約をお願いいたします。

10/5よりep4チケットご予約を承ります。

ご希望の方は
(1)お名前 (2)ご希望の回(18:30か20:00) (3)枚数
をメールにてお送り下さい。
折り返し、こちらよりご予約完了のご返信をいたします。
チケット代は全て当日窓口でのご精算となります。

E-mail■cc@at-will.jp

2日たっても返信無き場合は、メール事故などの可能性がございますのでお手数ですが下記までお電話にてお問い合わせ下さい。
TEL■090-4280-7447(タダシアイウチ)

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2009年02月15日

souvenir - ep2

「えっ、そんな暇あんの?」
止まると死んじゃう男=相内が演出し、
こっそり行うシークレット?!ステージ。
2008年6月に続いて第二弾、決定。




Critical Creation code:02「souvenir - episode2」

演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
脚本:戒田竜治(満月動物園)

出演:森下淳士(劇団ころがる石)、殿村ゆたか、白木原一仁(ななめ45°)、
    諏訪いつみ(満月動物園)、河上由佳(満月動物園)

日程:2009年2月15日(日) 13:00 / 16:00
会場:未知座小劇場(ODICマンスリーワンコインシアター参加公演)
料金:500円
予約:こちらをクリック!

自分の好きなものを堂々と「好き」と言いづらくなってしまった世界。
ひなびた商店街にある喫茶店では、今日もマスターがコーヒーカップを磨いている。
ちょっとした秘密。メニューの一番下には「スペシャリテ」(とっておき)。
スーベニール[贈り物・形見]。
それはコーヒーの香りと共にお贈りする、とても静かで優しい形見分けの物語。

※今回は1話完結4エピソードから構成されるsouvenirのうちエピソード2を上演。1話完結なので前回公演をご覧になっていなくても大丈夫です。コンパクトな45分ほどの上演時間でお届け予定。
※出演を予定していた原典子さんは、ご本人様の事情で今回は出演できなくなりました。

■CriticalCreationについてはこちら
■souvenirの物語についてはこちら
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2008年06月23日

初演出終了!

初演出公演の終了から早くも1週間が過ぎてしまいました。
公演に足をお運びいただいた方、貴重な意見を下さった方、来れなかったけど暖かいメッセージをくれた方々、本当にありがとうございました。

公演日のアンケートや打ち上げで色々とご意見やダメ出しをたくさん頂いたので、翌日それらが頭からこぼれ落ちてしまわないようにメモしたりしましたが(考えてみればあんなに冷静な打ち上げも初だったかも・・・。翌日でも話の内容完璧に思い出せましたわ。元々酔わないけど話の内容ほとんど覚えてるとかは無いもんね)、さらに新しく色々考えたりするとオーバーヒートしそうだったので、この一週間は、CC公演の事からは離れて、劇場の仕事とオフはMGS4に没頭していました。

一週間たったので、そろそろ反芻と反省としようかなと思います。
明日あたりから記録写真なんかも載せつつ、プレイバックしてみますので、ご興味があればお付き合いくださいませ。
posted by アイウチ at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月15日

souvenir - ep1



Critical Creation code:01「souvenir - episode1」

演出・原案:タダシアイウチ(Critical Creation)
脚本:戒田竜治(満月動物園)

出演:森下淳士(劇団ころがる石)、諏訪いつみ(満月動物園)、
    河上由佳(満月動物園)、原典子(満月動物園)

日程:2008年6月15日(日)14:00〜・17:00〜 (各ステ20席限定)
会場:未知座小劇場(ODICマンスリーワンコインシアター参加公演)
料金:500円

自分の好きなものを堂々と「好き」と言いづらくなってしまった世界。
ひなびた商店街にある喫茶店では、今日もマスターがコーヒーカップを磨いている。
ちょっとした秘密。メニューの一番下には「スペシャリテ」(とっておき)。
スーベニール[贈り物・形見]。
それはコーヒーの香りと共にお贈りする、とても静かで優しい形見分けの物語。
posted by アイウチ at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

未知座小劇場の地図



八尾は遠いイメージですが、難波や環状線鶴橋から30分以内と意外と近いですよ。

※ただし久宝寺口駅のある近鉄大阪線は、上本町始発なので難波からの方は乗換えが必要です。
※また、久宝寺口駅は普通しか止まらないのでご注意下さい。
※上本町から乗車時間は15分ほどですのでかなり近いんです!


駅の改札を出てローソンさえ見つけられれば辿り着けると思います。
どうしても見つけられないときはご連絡下さい。

携帯からアクセスしやすいようにQRコードも貼っておくので、ブックマークしておくと便利です!

MAP-QR.jpg
posted by アイウチ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月05日

CriticalCreationとは?

■CriticalCreation クリティカルクリエイション

演劇においてプロデューサーを本業とする相内唯史が、プロデューサーとしてより質の高い仕事をする為に、これまで経験や知識の浅かった演劇の別分野に挑戦する個人ユニット。
クリティカルとは臨界の意。ジャンル・職域の境界に挑み、既存のプロデューサー像の臨界を突破する所存。

プロジェクト第1弾となる「souvenir」では、満月動物園の戒田竜治氏に協力を依頼。初の舞台演出に挑む。

■タダシアイウチ a.k.a 相内唯史
1977年生まれ、札幌出身。Critical Creation主宰。
インディペンデントシアターの劇場プロデューサー、at willではクリエイターという表の顔を持つ。
年中オンな「止まると死んじゃう生き物」は、Critical Creationでは肩肘張らずに楽しもうというスタンスで作品創りに没頭。
posted by アイウチ at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月17日

クレジットを考える

さて、演出のクレジットをどうしようかと考えた。
まぁ「普通に相内唯史でいいやん」という話なのだが、それもあまりに芸が無いと言うのと、相内唯史の名前でやっちゃって良いの?ってことだ。
CriticalCreationは、公の相内唯史とは完全に分離した個人の活動としてやりたいと思っていることだからだ。
あとは、純粋に何か違うクレジット欲しいなという想い。

で、色々考えた結果、あまり芸はありませんが、名前をひっくり返してタダシアイウチ(CriticalCreation)とした。
ケンイシイとかレイハラカミとかサトミトシイエとかみたいな感じだ。
普通だけど、カタカナ表記で違うイメージ、ひっくり返った事で表と裏の入れ替え(公私の入れ替え)を表現していて、割と気に入っている。
ちなみに、これはCriticalCreationとして活動するの時のクレジットで、いずれは脚本にも挑戦しようと思っている。
posted by アイウチ at 03:19| Comment(0) | TrackBack(0) | Critical Creation | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする