今回は、1/31(土)に開催された中島和毅×植松ゆき「MOVE ON TUNE‼︎」『陽だまりの声』を振り返ります。

この公演は、NICO×frogs主宰の植松さんと彗星マジックにも客演してもらった中島くんのコラボ企画。二人ともお芝居できて、それぞれダンス・音楽という武器を持っている二人を掛け合わせた化学変化を狙う座組です。
最初に植松さんから照明をお願いしたいとお話貰った時には、「相内さんと仲良くなりたいから」という良く分からない理由で相談され、軽いイベント位の雰囲気だったので、内容的にも予算的にもニコフロレギュラーの西村アニキを呼ぶほどじゃないという事なのかな?と判断し、まぁ楽しい現場になりそうだし良かろうとお引き受けしました。
蓋を開けてみると、ご覧になった方はおわかりかと思うのですがガッツリでした。台本届いた時に一瞬後悔しましたww 50分位の作品で9曲歌って踊るって…

お引き受けした以上、楽しんでしっかりやるしかありません。
そもそも、あまりダンス作品や音楽ライブの照明プランを経験していないので、リサーチから入りました。劇中使用予定の楽曲のMVやライブ映像をひたすらYoutubeで観て、参考にしたい画や色感覚、逆に自分ならこうしたいをひたすらメモる!
ライブ映像を観ていて気付いたのが、PerfumeのLiveに慣れ過ぎてるせいか、他のアーティストのライブって、思ったほど曲中で灯りが変わっていないという事でした。曲の展開での変化がメインで、細かいフリやリズムを取ったりはあまりしていない。
当たり前なのかもですが、個人的には少し目から鱗でした。
確かに、ファンはちゃんとアーティストやバンドの佇まいを見たいですもんね。パカパカ照明変えたら、盛り上がりはするかもだけど見ずらい。
そして今回の劇中使用曲の使われ方も、ダンスやシーン(感情)をきちんと見せる事に主眼があると思うので、とにかく二人をしっかり見せつつ空間を彩ることを最優先でプランしました。レギュラーで照明プランしている彗星マジックとはまた違うアプローチでした。

そんな中でもちょっとこだわったのはイントロ部分。曲の入りの部分の灯りは、掴みという意味でも遊びという意味でもポイントになるので、リファレンスした動画の要素を自分なりに抽出して再現したりしました。
sumika「Lovers」
Ado「うっせいわ」
この2曲は、リファレンスしたLive映像のイントロの音の取り方をサンプリングしています。イントロだけめっちゃQUEが多いやつww
またAdoではサビ部分で、クリスマスに自分プレゼントで購入したレーザーを試しに導入してみました。物凄いコンパクトな機材なのですが、比較的出力が高く明るいので1stや2ndでは結構使えそうです。今回は初使用なので安全のために出力範囲を狭めて、センターの植松さん周辺だけを狙う使い方にしました。

米津玄師「アイネクライネ」
アイネクライネでは、このライブ映像を参考に、サビ前の展開を1カウントずつ照明変化する部分を再現してみました。音に合わせて照明変えるの気持ちいい!ストレートプレイの照明プランでは無い要素なので、楽しかった〜 個人的にはリズムゲーやってるイメージです。
音楽以外のお芝居の部分では、一か所。シーンがあけた後、猫こと植松さんが座っている部分が他よりも明らかに暗くて違和感を感じさせておき、犬こと中島くんの「その割には、どっちかって言うと、そこ日陰だよ」というセリフで灯りの伏線を回収するというのがお気に入りでした。片一方の回では結構なお客さんがこのシーンで笑ってくれて、意図が伝わるのが嬉しかったです。小さなことですけどね…。
あとは、アフターイベントについて触れておかなくてはいけないですね。
企画名は『即興で歌・伴奏・振付・照明やってみよかーい』だそうです。
元々は、お客様からお題の曲をもらって、20分間で中島くんは伴奏と歌、植松さんは振付を作って、練習し上演という企画。
打ち合わせで「照明はどうするの?」って聞いたら、「地灯りつけておいてくれたら」という事だったのですが、それはちょっとつまらんし、二人が頑張ってるのに僕は観とくだけってのもね…。という事でつい言ってしまいました。「照明も即興で付き合おうか?」
そしたら当然「是非!」って返ってくるよねww
あまりご存じない方に説明すると、現代においては照明は灯りのデータを予めプログラムしておいて、作品の進行に合わせてキッカケで準備したものを再生していく方式です。
つまり事前準備が必須。
しかしながら、この企画ではどのアーティストのどの曲をやる事になるか分からない。早くて賑やかな曲かもしれないし、弾き語りのバラードかもしれない…。つまり予め準備しておくことはできないから、二人と同じく曲が決まってからの20分間で灯りをプログラムして、変化のキッカケのテストをして、本番を迎えるしかない。まさにガチンコの一発勝負です。
この時の様子がNICO×frogsのXで公開されています。
最初の動画が本番。後の動画が20分間を編集したメイキングですね。スタートでそれぞれ準備をはじめると、灯りを作っている間真っ暗になって二人の作業や練習に支障が無いように舞台上に蛍光灯が付きます。本来灯りを作る時は実際の灯りが確認できるように真っ暗な中で作業しますが、客席にはお客様も居ますので客電もついています。まぁこの作品の為の灯りを作る過程で、明るさや色味の感覚は分かっているので、その記憶を手掛かりに、灯りを作っていきます。
メイキングの中でもムービングのポジションを調整したり、色変えてみたり、色々試しています。試しながら、リアルタイムに出来上がっていく植松さんの動きや位置を横目に灯り変化の構成を探っていきます。
どうやら、舞台美術として使っていたカラフルなBOXの間を歩いたり、上に乗ったりするようだと判明したので、このBOXがもっと増えたように見える灯り良いかな?と思い、色んな色の水玉が消えたり現れたりする灯りを作ってみました。あとは、サビ前で曲調が少し寂しくなるところがあるので、そこで画を一度落ち着かせたり。
作っているだけでかなり時間を使ったのと、音を通しで聞きながら練習する事ができなかったので、実は本番は自身の意図した構成のタイミングを外してしまっている箇所がありますが、それなりに楽しめる感じにはできたかな?と思っています。
こんな企画でも無ければ、20分で灯り作って即興でオペレートするなんていう機会は無いので、お二人の企みに乗って良かったなと思います。

出演の二人はもちろん、受付や制作周りを手伝ってくれていたNICO×frogsメンバーや、勝手知ったる舞監西野さん、音響廣岡さんと、とにかく気持ちのいい現場で、スケジュールなどは過酷なのにとにかく楽しい過ごしました。
また、ご一緒出来る機会があればと深く思います。

